【当部門について】

平成15年10月に徳島大学病院 診療支援部 医科・歯科技術部門として発足し、平成19年4月に徳島大学病院 診療支援部 臨床工学技術部門に区分化されました。平成31年に徳島大学病院 医療技術部 臨床工学技術部門に名称変更されて現在に至ります。 臨床工学技術部門は生命維持管理装置(血液浄化、体外循環、呼吸管理等に使用される装置)および先端技術を応用した医療機器の操作、保守・点検業務を行う専門職種である臨床工学技士の所属する部門です。令和5年4月現在では、21名の臨床工学技士が在籍しております。配属先として①ME管理センター②血液透析室③集学治療病棟④血管撮影室(循環器内科、小児科)⑤手術室⑥内視鏡センター⑦外来業務があり、チーム医療の一員として医師、看護師、放射線技師、臨床検査技師等と他職種と連携し下記のような業務を行っております。

【ME管理センター】

  • 各病棟のME機器(人工呼吸器、輸液ポンプ、シリンジポンプ、除細動器等)、特殊ガスボンベ(N2、NO等)の中央管理、人工呼吸器の操作・使用中管理
  • 胸腹水濾過濃縮装置(CART)の準備、操作、保守管理
  • 血液内科における幹細胞採取、骨髄濃縮等の細胞治療センター業務
  • 新生児集中治療部(NICU)での人工呼吸器の準備、操作、使用中点検
  • 各病棟、診療科への医療機器の勉強会、研修会の開催

【血液透析室】

当院血液透析室は8床保有し、主に血液透析導入や手術・検査目的で来られた患者様の人工透析を施行しております。臨床業務に加えて各種装置・検査機器の保守点検、水質管理、シャントエコー、薬剤管理、災害訓練と全ての運営に臨床工学技士が携わっております。また、特殊血液浄化法(PE,DFPP,LDL吸着)も血液透析室で施行しております。

【集学治療病棟】

集学治療病棟はICU11床、SCU9床、HCU12床を備えており、専任の臨床工学技士が常在し業務を行っております。

  • 急性呼吸不全や大手術後の患者への人工呼吸器、 非侵襲的陽圧換気法(NIPPV)、 High Flow Nasal Cannula Therapy(HFNCT)等のセッティング,保守管理
  • 急性腎障害(AKI)、大手術後の持続的腎代替療法(CRRT)や免疫、神経疾患の血液浄化療法の操作、管理
  • 急性循環不全患者への補助循環装置(IABP,VA-ECMO、Impella)のセッティング、施行中およびウィーニングの操作、管理
  • 急性呼吸不全症例に対する体外式膜型人工肺(VV-ECMO)業務
  • 集中治療患者や熱傷患者への気管支鏡検査等の介助、洗浄消毒
  • 低体温、平温療法のセッティング
  • Dr’s Carに搭載される移動用人工呼吸器、患者監視装置、吸引装置等のセッティング
  • 医療機器や周辺機器の保守管理業務
  • 心臓医師間の勉強会(ICUレクチャー)の講師や災害研修にも積極的に参加しています

【血管撮影室】

心臓カテーテル室では、心臓カテーテル検査・治療業務から、電気的エネルギーの負荷を伴う治療チームでの業務を担っています。

心臓カテーテル検査・治療業務では、以下の業務を行っております。

  • 虚血性心疾患、弁膜症、先天性心疾患などに関する業務
    1. 体計測関連業務
      • 心臓カテーテルモニタリングシステムを用い生体情報の監視、報告ならびに計測、記録を行い、測定値より算出される各種情報を理解する。主な生体情報モニターは心電図、心内心電図、経皮的動脈血酸素飽和度、各心腔・血管内圧、心拍出量、弁口面積・血管径計測を行っております
    2. 治療、検査関連業務
      • 治療に必要な医療機器の準備および操作、保守管理を行っております。主な医療機器は、補助循環装置(IABP、ECMO,、Impella)、除細動器、体外式ペースメーカー、ロータブレータ装置等です
    3. 画像処理装置関連業務
      • 画像処理装置や専用の装置を用いた生体情報の測定や記録を行っております。主な関連医療機器は、血管内超音波診断装置(IVUS)、光干渉断層法装置(OCT)、部分血流予備量比測定器(IFR,FFR)です。
  • 不整脈関連業務
    1. 電気的生理学検査(EPS)・高周波カテーテル・アブレーション(RFCA)関連機器の準備と操作。及び得られる生体情報や装置設定条件等の記録を行っております。主な関連医療機器は、心臓カテーテルモニタリングシステム、高周波発生装置、3次元マッピングシステム、イリゲーションカテーテルシステムです。EPS・RFCA関連機器の操作と設定等高周波通電、ノイズ対策、出力設定、フィルタ設定、除細動器のスタンバイを行っております。
    2. 心臓ペースメーカー、植え込み型除細動、心臓再同期療法(CRT)埋め込み時の立会い。

【手術室】

手術室では、各診療科の手術に対し、様々な技術支援を行っています。

  • 人工心肺装置や補助循環装置(IABP, ECMO, Impella)の操作及び管理
  • 自己血回収装置の操作
  • レーザー手術装置の操作
  • 誘発電位(SEP,ABR,MEP,VEP)の測定時の介助
  • 整形外科・インプラント挿入時のナビ操作
  • 手術支援ロボットシステム「ダヴィンチ」手術時等の介助
  • 内視鏡手術時の介助
  • 「ハイブリッド手術室」で経カテーテル大動脈弁置換術(TAVI)や低侵襲心臓手術(MICS)等を実施しております。経カテーテル大動脈弁置換術(TAVI)では、手術室及び血管撮影室担当の臨床工学技士が連携して、臨床業務に携わっています。
  • ME機器の保守管理

【内視鏡センター】

内視鏡センターにおける臨床工学技士業務は消化器内科の内視鏡検査、内視鏡治療の準備、介助です。

  1. 内視鏡検査業務
    • 上部消化管内視鏡検査(GIF)
    • 小腸内視鏡検査[カプセル内視鏡検査(VCE)
    • ダブルバルーン内視鏡(DBE)
    • 下部消化管内視鏡検査(CF)
    • 超音波内視鏡検査(EUS)
    • 内視鏡的逆行性膵胆管造影法(ERCP)で使用される内視鏡システム
    • 内視鏡スコープ(上部消化管内視鏡スコープ,下部消化管内視鏡スコープ,超音波ガストロビデオスコープ,十二指腸内視鏡スコープ,ダブルバルーンスコープ)
    • 内視鏡用超音波観測装置
    • カプセル内視鏡
    • 内視鏡用炭酸ガス送気装置等
  2. 内視鏡治療
    • 内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)
    • アルゴンプラズマ凝固法(APC)
    • 内視鏡的粘膜切除術(EMR)
    • 内視鏡的総胆管結石砕石術
    • 内視鏡的逆行性胆道ドレナージ術(ERBD)
    • 経皮内視鏡的胃瘻造設術(PEG)
    • 内視鏡的静脈瘤結紮術(EVL)

【外来業務】

  1. ペースメーカー外来
    • 循環器内科外来及び心臓血管外科外来で実施されているペースメーカー外来業務では,植込みデバイス(植込み型医療機器)を移植された患者さんにプログラマを用いて、動作チェックを毎月第1週、第2週、第3週目木曜日(午後診療)等に実施しております。
  2. VAD外来
    • 難治性の重症心不全に対する治療として、VADの装着された方々に断続的な治療を提供するため、専門外来の業務をしています。以前からVADは、心臓移植までの橋渡し(BTT)の治療として保険適応となっていたが、近年、新たな使用用途として、心移植を前提としない永久使用目的での、Destination therapy(DT)が2021年5月から開始されました。当院は今年度から、VAD管理施設に認定され保険診療できる様になり本格的に活動をしています。
    • 外来においては、心臓血管外科専門医、循環器内科医、臨床工学技士、看護師を含む専門的修練をうけたスタッフがチームを組み、①日常性格②全身状態③血行動態④トライブラインと呼ばれる体内から体外誘導される導線周囲の創傷管理⑤機器の駆動チェックなどを行っています。
    • 2023年4月現在 Heart Mate3、HeratMate2 の2機種を対象に数名の外来患者様が通院されています。